ホーム » 2018 » 4月

月別アーカイブ: 4月 2018

百年麦酒、と名前のビールについて2

 

ベアレン醸造所では、2016年にこのビールの商品開発をしていた。いつもの限定ビールとは異なる商品。コンセプトを前面に出した商品である。
マーケティング的な分析を詳しく書くと、長くなるので「ざっくり」いうと「ベアレンの強みを全力で押しだしたビールってなんだろうな」というところで開発された。

ご存知の方も多いかもしれないが、ベアレンでは「100年前の醸造設備」を保有しており、それを使用してビールを製造している。おそらく、そんな醸造所は国内には存在していないので、この段階で「日本における、唯一無二のビール造り」と言える(言い過ぎかな)。

そんな設備で造るビールは、やはりクラシカルなスタイルであれば有るほど、その性質を活かせると思っている。
故に、
・文献で探せる古いレシピ
・他の醸造設備では再現が困難
・ベアレンの醸造設備で再現可能
という条件を満たしたビールをいくつかピックアップして選んだのが「ウィーンラガー」だった。

近年のビール醸造において、既存のビアスタイルの枠にはまらない新たなチャレンジが行なわれている。クラフトビールの業界においては、顕著に表れていると思う。

時間軸、という視点で見た場合、これらのチャレンジは―大袈裟にいってしまえば―未来へのチャレンジであり、ベアレンがこの「百年麦酒」で行っているチャレンジは「過去へのチャレンジ」。
ベアレンらしいチャレンジだと思うのである。

続く

百年麦酒、と名前のビールについて1

近年、クラフトビール(どこまでが『クラフト』なのか、という議論は置いておく)が流行しているというのは、至るところで見聞きする。私の場合、地元の岩手県ですら多くのクラフトビールが流通するようになってきた、と感じられるので、全国的には相当飲む人も増えてきているのではないかと思う。ただ、ビールのカテゴリについて知ってて飲む人はどこまでいるのか、というのは正直分からないなぁ、と感じている。

その原因の一つに、商品名からビールのスタイルが想像出来ないものが多くなってきている、という理由があるだろう。

つまり「ビールのスタイル(カテゴリ)≠商品名」というのが多いからではないか、と思うのである。これについては、「ビールの中身がよく分からない、けれども、楽しい。面白い。美味しそう。」というイメージが浮かび、新しいファン層を拡大する良い面はあるが、一方で「飲むまで良く分からない」という一面があるのも否めない。いわば市場が広がってきた故の功罪ともいえるのではないだろうか。

一昔前は「メーカー名」+「商品名(=スタイル)」というのが多く存在しており、ラベルを見ればビールのスタイルが分かり味が想像できた。また、それによって「スタイル別のメーカー別の飲み比べ」なども試せたが、今では難しくなっている。ラベル表示にガイドラインがあるわけでもないので、更に分かり難くなっているのは間違いない。それが良いか悪いか、というのは無いが、ベアレンとしては「何を伝えたいのか?」というコンセプトが飲み手に伝わるようにしないといけないと思うし、努力を怠ってはいけないと思っている。功罪あるにせよ、「飲んでもうことによって、市場は広がる」という事は間違いないと思うので、色々なメーカーのチャレンジはクラフトビール市場を活性化させていることに間違いはない。

ここまで書いて私が言いたいことは、―相当長くなったが―、百年麦酒という名前は、スタイルは書いていないけど、「ベアレン醸造所のアイデンティティを表した限定ビール、なんだよ」ということである。

続く