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ビールにおけるテロワール

 

テロワールという言葉をご存知だろうか?

フランス語で土地を意味するTERREから派生した言葉だが、ワイン業界では葡萄の木が生育する、土壌特性や気候、斜面、など「葡萄の木を取り巻く環境」を表現する言葉として使われてている。

ワイン造りの場合、葡萄を育てる人、ワインを醸造する人の力は勿論だが、天候、土壌特性、という要素が葡萄に大きく関わってくる。つまり、農業的な要素が大きい。
そのため、テロワールの影響がダイレクトに葡萄へ、そしてワインという液体に影響してくる。造り手は、このテロワールも含めて評価されているように思う。(土壌特性をとらえて、もしくは変えようとして手を加えていっても大変な時間と労力がかかるため)
ゆえに、その土地の違いや、造り手、ヴィンテージによるワインの出来の違いは、楽しみの一つにもなり得るのだと思う。

翻って、ビールのテロワールは何だろうか?

仕込み釜や設備、ということになるなら、1年に100回以上製造できるわけで、1年に1回しかの仕込しかできないワインとは単純に比較すると100倍のスピードで「造り手が表現したいビール」へと改善されていくもの、と言える。
そうして造られるフラッグシップのビールに、飲み手が安定を求めるのは当然と言えるだろう。

つまり、ビール造りはテロワールを理由にせずに「私達は、こういうビールを造る」という明確な意思表示ができる。また、チャレンジも気軽にできる。そこでの主張も可能なのだ。

1年に1回だけの主張に駆ける想いと、100回の主張に駆ける想いを比較すること自体には意味はないと思うわけだが、どちらも「造り手が主張したいこと」は液体に体現されていると思う。
ならば、尚更のこと、造りだすビールについて、造り手が発信する情報は興味深い。
そういう視点でビールを飲んでいくと、思わぬ発見があり、今まで以上に楽しめると思う。
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