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オンリーファーストウォートについて(前篇)

ファーストウォート、と聞いても全く見当がつかないと思う。そもそもビール醸造に関わらない限り、触れることのないワードだが、直訳すると「一番麦汁」ということになる。

この話になると、「では二番麦汁は?」という話になるので、この話も含めて書き綴りたい。

麦汁を摂る場合、醸造工程では煮沸(といっても沸騰温度はまでは上昇させないよ)がある。

要するに、麦汁を煮込んで汁を摂るわけだが、—ザックリ表現すると—煮込んだ汁をザル※で濾して汁を摂る。

1回目濾されて出てくるのが一番麦汁。

※現場で使用するのは濾過釜です。

ここでは、結構濃い麦汁が摂れるわけだが、それでもまだザルに残った麦芽には成分がたっぷり含まれた麦汁が残っている。これを余すことなく摂るためにお湯をかけて、濾しだす。これが二番麦汁。

始めに断りたいのは、一番が偉くて、二番はダメ、というわけではない。

二番麦汁には、タンニン分など含まれており、味わいに複雑さを加えてくれる。(当然、いっぱいお湯をかけると薄くなるので、それでは全体が薄くなるので加減が大切)

基本的に、ベアレンでは伝統的なレシピを尊重して作るので一番麦汁も二番麦汁も使用しているが、このオンリーファーストウォートだけは、一番麦汁を使用しピルスナーとして仕上げたビールにしている。

陸上に例えるなら、トラックを走る10000M競技がオンリーファーストウォートで、山を100マイル(160㎞)駆け抜けるウルトラトレイルのようなものがベアレンクラシック、といった感じだろうか。

(余計、ややこしいかも)

伝統的な製法で、一番麦汁だけを使用したピルスナー。

麦汁のうまみも活かしつつ、ホップのニュアンスを引き出すビールとして仕込んでいる。

後編は、使用しているホップについて語りたい。(続く)