夏の、と付いているのがミソです。
夏の、があるので、冬の、もあります。
ヴァイツェン(ドイツ後で小麦の意味)はその名の通り小麦麦芽を使って造られた
ビールです。本場ドイツではヴァイスビールと呼ばれることが最近は多いですね。
ヴァイスはドイツ語で白。小麦はタンパク質を多く含むので白く濁った色合いがする
ことからそう呼ばれるようです。(他説もあり)
さて、夏のヴァイツェンができました。
ヴァイツェンはベアレンのビールの中でも大変、人気があり定番化を望む声も
多いのですが、定番として味わいを固定するより季節に合わせて様々なスタイルの
ヴァイツェンを楽しんでほしい、そう考えて年に2回の限定での発売をしています。
そういったわけで、夏のヴァイツェンは総じて、軽やかで飲みやすく、夏場にピッタリの
すいすい飲めちゃうスタイルに仕上げています。今年もそんな感じでおいしくできたと
思います。
ヴァイツェンの味わいの一番の特徴は、バナナフレーバーと言われるフルーティな
香りと酵母入りのまろやかな味わいでしょう。この香りは発酵から生じるもので、
バナナの香りと言葉で聞くと理解不能ですが、実際に嗅いでもらうと「ああバナナ!」と
皆さん納得いただける不思議な香りです。
かつて、バイエルン王国で大変人気だったヴァイツェンですが、パンの原料ともなる
小麦を使うため、小麦の使用を制限するため、ビール純粋令と呼ばれる法律を作り、
ビールの原料には大麦しか使えないようにしてしまいました。結果としてはこれがドイツの
ビール醸造の品質向上につながるのですが、もとは小麦をビールに使わせないためとは
意外ですよね。(他にもビールを造る時期や価格についても規制しています)
しかし、封建時代のこと、庶民には禁じておきながらちゃっかり貴族が醸造権を独占して
貴族のビールなんて言って、飲んでいたようです。それだけ美味しいビールということも
言えるでしょう。
そんなことにも思いをはせながら飲むと、いつもより一味、違って味わえるかもしれません。
最後に、ボトルでヴァイツェンを飲む際のアドバイスを。ボトル1本分が入る大きめの
グラスに1本分すべて注いで飲んでください。酵母入りですので、ビンの上のほうと下の方
では濃度が違います。グラスに注ぐ際は、最後にビールを少し瓶に残して底に沈んだ酵母を
しっかり溶かして全部丸ごと楽しんでください。風味が格段に違いますよ。