ウルズスについて(その1)
ウルズスは私にとって、非常に思い出深いアイテムなので、連載でお送りしたい。
【ウルズスの商品開発について】
2003年12月に初めて発売となったウルズス。創業年のこの年、ウィンタービールを限定販売しよう、ということになっていたが、商品名までは決まっていなかった。
当時は、「テイスティング会」という名前で定期的に行われた商品開発会議を行っており、創業メンバー全員が参加していた。中でも最若手だった私(ツカサ)は発言機会は少ないものの、ドイツ語が多少話せるため、ドイツ人の初代マイスターと話すこともあった。※当時のメンバーは5名。ミーティングは英語と日本語、そしてドイツ人マイスターがたまに吐く暴言はドイツ語、という状況だった。
・ウィンタービールの中身はヴァイツェンボック。
・ウィンタービールとして毎年レシピに変化を持たせよう。
そこまでビールを飲み進めながら、話が決まっていく。
一人平均3L程度は飲んだだろうか。
その時、
「商品名は何にしようか?」
ということになった。肝心の商品名が決まっていない。
「クリスマス~にするか?」
「それも、ちょっと違うかな・・・」
という話がされているなか、おもむろにマイスターが
「ウルズス」
といった。
自信満々だ。(いつもそうだったが、初代マイスターのイヴォは何かにつけて自信満々だった。頼りがいのあるナイスガイ、といえば聞こえはいいがのだが・・・)
誰もが何の意味か全く分からない「ウルズス」。自分自身も(これは、英語じゃないよな?ドイツ語なのか?)と思いながらも、全く想像もつかない。
社長の木村が聞き返すより早く、マイスターが言う。「ラテン語だ。ラテン語で『強い熊』の意味だ。」(やはり、分かるかよ!ラテン語なんて、分かるかよ!)そう心の中で突っ込みをいれながらも、ありきたりではなく、ベアレンらしく、ビールのスタイルを伝えない商品名として、響きもいい。
「ウルズス」。あれから、15回目のウルズスが発売になる。今年は10種類の麦芽を使った、特別なウルズス。濃厚な「強い熊」を味わっていただきたい。
イングリッシュ・サイダーを飲んで感じたこと。
今シーズンのイングリッシュサイダーがはじまった。
ベアレンでは、イングリッシュサイダーに限らず、瓶詰の直前、官能検査を行ってからスタートする。(正確には、瓶詰直後にランダムに抜き出すわけだが・・・)
今回は、官能検査について、ではなく、マーケティングチームとして、「飲み手に伝える人」として私がイングリッシュサイダーから感じたことの話。私もこの段階で最終形を試飲することになるわけだが、サイダーの場合、個人的な経験が少ないので、過去のサイダーと比較してみた。
比較したのは、写真左2017年1stロットと、写真右2014年(初めて造った年)1st。始めに2017年をテイスティング。
(※テイスティング内容については、別途投稿予定)
次に、2014年をテイスティング。
(・・・おや?)
飲み比べると分かるのだが、見た目ほど、味わいに差がない。これだけ、黄色く変色していると、酸化臭、この場合すこしヒネた(紹興酒のようなニュアンス)が感じられるかと想像していたが、リンゴのフレッシュな感じがまだ、というかかなり残っている。通常、果実酒やフルーツビールなどでは、3年も経過すると相当に味が変質する。※ただし、香料、保存料を使用している場合は『全く』と言っていいほど変化を感じられない。敢えて、ポジティブな表現をすれば、非常に高いポテンシャルをもっている、とも言える。
そういえば、マイスターの宮木が以前 「リンゴを搾汁した直後にすぐに発酵へ持っていく、なんてことは他では難しいだろう。もっと言うなら、加水していない。通常は濃縮還元を使用しているだろうが、それをしていない。これは、もっと推してもいいと思う。」と言っていたのを思い出す。
他社があまりやらないので、飲む機会もないわけだが、そういう意味で非常に得難い経験となった。イングリッシュサイダーのボトルに閉じ込められている味わいの変化は遅く、3年では衰えをさほど感じられない。どこかのタイミングで、急激に、あるいは緩やかに、「あぁ、このサイダーはピークを過ぎて、テンション下がったなぁ」と感じる時が来ると思う。その時を確認するためにも、2014年のサイダーはもう少しとっておこう。
ワインと同じように、大切な年にはまとめ買いをしてもいいな、と思える液体だと感じた。
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公式ブログ「ベアレンニュース」
http://baeren.seesaa.net/
直営レストラン便り
http://restaurant.baeren.beer/
ベアレンウェブショップ本店
http://baeren.jp/
ライ麦ビール
ライ麦ビールはベアレン醸造所の限定ビール第一号のビールです。
ビール工場立ち上げの準備期間中に、当時のブラウマイスター、イヴォ・オデンタールが
ドイツから持って来ていたパウラーナーのロッゲンというライ麦ビールを木村と共に
飲んだんですが、これが最高にうまく五日こんなビールを造りたいねと話し合ったのでした。
そして、ビール工場ができ、ようやく自分たちのビールを造り、販売し始めた最初の年に
このライ麦ビールを造ったのです。
今でもこのビールを飲むと、あの時の感動を味わうことができます。
毎年、このビールを飲むたびに、「あーライ麦だー」とこの味を思い出させるのです。
それだけ唯一無二のビールと思っています。
ライ麦ビールの特長は、とろみを感じる芳醇な味わいだと思います。
このとろみは、原料に使われるライ麦には他の麦芽よりβグルカンという成分が
多いためです。
しかし、このため仕込の段階で原料の粘度がとても高くなり、ろ過釜で目詰まり
しやすいなどの問題が発生します。世界的に見ても醸造しているところが大変
少ないライ麦ビールは、この醸造工程の問題が大きな原因ではないかと言われています。
ベアレン醸造所では、この点を独自の技術で克服し、仕込んでいます。
まさに、他社にはないオンリーワンのビールと言えるでしょう。
春を呼ぶライ麦ビール、ぜひ味わってください。
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岩手ゆずヴィット
ベアレン満を持しての新製品です。
ベルジャンホワイトエールは、原料にオレンジの皮を使用しますが、
これにヒントを得て、ゆずの皮で風味をつけてみようと企画したビールです。
原料に使うゆずは、陸前高田産の北限のゆずです。
同地では以前より民家の庭先などでゆずが栽培されてきましたが、これを
北限のゆずとして地域の特産にしようと力を入れています。
ベアレンもこの活動に賛同し、サポーターとして協力しています。
昨年、試作を何度か繰り返しましたが、なかなかうまくゆずの風味が出ずに
苦労しました。工業技術センターのご協力などもいただき、いいものが
できたと思います。添加物などは一切使っていませんので、ほのかに
優しいゆずの風味を感じます。
使用している北限のゆずは、ボランティアの方たちによって収穫し(ベアレンも
参加しました)、手作業で選別し絞っています。
まさに、手作りの果実なのです。
ベルジャンホワイトエールは小麦のビールです。その小麦も岩手県産の
南部小麦を使用しました。まさに地産地消の1本です。
ほんのりと薫るゆずの風味と、まろやかな味わいをお楽しみください。
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チョコレートスタウト・ヴィンテージ
ベアレンでは唯一のヴィンテージ(年号)入りのビールです。
年号を入れるだけあって、熟成も楽しんでほしいという願いから
ですが、ベアレンがオフィシャルで設定している賞味期限は1年です。
ビールというのはそもそも出来立てがおいしいお酒です。
しかし、このビールのようにアルコールの強いものや、ホップが
大量にきいたものは長期保存による味わいの変化も楽しめます。
チョコレートスタウト・ヴィンテージはアルコールが9%あり、
普通のビールの約2倍です。できたてはややアルコールの尖った
味わいを感じますがこれが年月とともにまろやかになってきます。
昨年のヴィンテージを飲みましたが、まだまだ苦みもしっかりあり、
アルコールも強くまだまだ先が楽しめそうです。
ぜひ、皆さんにもビールの熟成も楽しんでもらいたいそんなビールです。
今年はラベルをリニューアルしました。
あわせておたのしみください。
ウェブショップはこちらです。
http://baeren.jp/choco-v?id=main_conten
チョコレートスタウト
名前からしてそそられるビールですが、これもれっきとした
英国伝統のビールです。
チョコレートモルトという深く焙煎した麦芽を使用した、濃厚な
黒ビールです。この麦芽由来の香ばしい、カカオのような風味を
チョコレートのようと表現することからこの名前になっています。
名前から想像できるようにバレンタインデーに人気のビール
ですが、日本で初めて造ったのはベアレン醸造所です。
ベアレン チョコレートスタウトは商標としても登録されています。
味わいはしっかりとした濃厚な黒ビールでありながら、コクとまろやかさの
バランスがよく苦みはそれほど強くありません。
ベアレンらしい、飲みあきしないバランスの良い味わいに仕上がっています。
寒い日が続くこの時期に、まったりと楽しんでほしいビールです。
ウェブショップはこちらです。
http://baeren.jp/choco.shtml?id=main_content
オンリーファーストウォート
直訳すると「一番麦汁だけ」を意味するビール。
ベアレン醸造所では、毎年恒例となった年末年始ビールです。
麦汁とは発酵前のビールの素の液体のこと。
麦芽をお湯で煮込むとそのデンプン質が糖分に変わります。
この次の工程で、麦芽かすを濾して液体のみを抽出する
ろ過の作業があるのですが、この際、最初に自然に出てくる
液体のことを一番麦汁と呼びます。
一番麦汁が必ずしもいい、高級ということではありません。
しかし、一番麦汁だけで仕込むと、味わいがとてもクリアに
雑味のない飲み口の良く仕上がります。
これはピルスナーにぴったりだろう。と考えて、数年前から
年末年始の乾杯用にとこの時期に発売しています。
極端な言い方をすると、「今飲んだの?」と自問したくなるような
のど越しの良い味わい。ベアレン今年最後の限定ビールを
ぜひ、この時期の乾杯に味わってください。
バックシュトゥーベのクワークシュトーレン
ベアレンが毎年、クリスマスに取り扱っているシュトーレンをご紹介します。
シュトーレンとは、ドイツではクリスマスに欠かせないケーキです。ドライフルーツやナッツが入った、ぎっしりと中身の詰まった味わい。フルーツの入ったベイクドケーキのようですが、それよりずっとパンに近い味わい。食べ応えがあります。
時が経つほど味がなじみ、美味しさが増していきます。少しずつ、薄く切って食べます。(大人数でなければ、とても一晩で食べられる量ではありません!)そして、クリスマスころにちょうど食べごろを迎えるよう造っています。変化していく味わいを楽しむのが、シュトーレンの食べ方です。
そして、このクワーク・シュトーレンを作るのが彼、ポール・ツィマーマン氏です。ドイツより岩手の花巻にやってきた彼は、日本では自分の好みにあうパンとケーキがないと一念発起、自身で本場ドイツの伝統のパンやケーキを作り始めました。
彼の営むジャーマン・カフェ「バックストゥーベ」は、花巻の山間部にあるにもかかわらず全国からひっきりなしにお客さんが訪れる人気のお店(完全予約制です)。自家製のパンやケーキも毎日のように全国各地へと出荷しています。
そんな彼が作る人気のケーキが、このシュトーレンです。
彼の作るシュトーレンは、自家製のクワーク(凝乳:ヨーグルトとチーズの中間のようなもの)を加えて作ることです。独特のコクとやさしいミルクの風味が漂います。味わいもしっかりと食べ応えがあり、一切れでは満足できない美味しさ。クリスマス前に食べ終わってしまわないように気をつけてくださいね。
バックストゥーベでは、シュトーレンは最低でも2週間は寝かせて、美味しく食べられる 状態になってから出荷しています。常温で保管でき、3ヶ月間は美味しく召し上がれます。毎日、少しずつ切って食べてください。残ったシュトーレンは、ラップで包み、また翌日の楽しみに取っておいてください。クリスマスのころが最高に美味しい食べごろになるでしょう。
ただいま、ウェブショップにてご予約を承っています。
http://baeren.jp/q-stollen
今年のクリスマスはぜひドイツ流で!
イングリッシュ・サイダー
まず、この商品を紹介するにあたって断らないといけない2つのことがあります。
1つはサイダーという商品名ですが、清涼飲料ではなくれっきとしたお酒で
あること。
そしてもう一つは、この商品は「シードル」ではない、ということです。
サイダーは、英国伝統のりんごのお酒です。
パブに行くとどこにでも置いてあり、エールとともに楽しまれているお酒です。
昨今は若い人たちにも人気で、流行とも言える広まりが出てきています。
このサイダーをこの度、ベアレンが岩手県産リンゴ100%で造ったのが
イングリッシュ・サイダーです。
サイダーを初めて造ったのは4年前。発泡酒のジャンルで樽生のみでした。
大変な人気をいただき、頒布会の限定品などで製品化し、ご意見を伺ったり
して準備を進めてきました。
そして今年、新たに果実酒製造免許を取得し、新式の搾汁機も導入して
サイダー発売に本格的に取り組んでいます。
最初にお断りしたようにこの商品は、カジュアルなワインであるシードル
ではありません。英国パブで飲まれているサイダーで、ビールの延長線上で
楽しんでもらいたいお酒です。
イングリッシュ・サイダーは自らりんごを絞り、1本にりんご2個分を贅沢に
使用しています。原材料はりんごと酵母のみ、その他は一切何も使用して
いません。酸化防止剤なども一切無添加です。
そのため、りんごのフレッシュな果実味を感じることができ、シャープで
切れの良い味わいは食前でもお食事と合わせても楽しめる味わいです。
今年は4回の仕込を予定しており、仕込ごとにリンゴの品種が変わります
ので、それぞれに味わいが変わります。
これをファーストロット、セカンドロットというようにロットごとに味わいの違いを
楽しんでもらえるようにラベルに表記して販売いたします。
ただいま発売中のファーストロットは飲食店限定となっており、りんごは
さんさ、つがる、きおうを使用しています。
12月中旬頃に発売予定のセカンドロットは、ジョナゴールド中心のりんごで
造っており、こちらは一般店頭にも並びます。
ベアレンの新ジャンルへの挑戦、ぜひとも味わってください。
イングリッシュサイダーについてはこちら
http://english-cider.jp/
イングリッシュサイダーの飲めるお店は公式ブログにて
http://blog.english-cider.jp/